【我が家を切り裂く事件が起きた!?】「おじさん派 V.S. おばさん派」論争勃発
今、我が家では、家族を二分させている大問題がある
我が家の近所に数年前に開店した八百屋さん。
60歳くらい店主がお店を切り盛りしています。
安くて新鮮で店主も親切!という
商店の鏡みたいな八百屋さんです。
さて、ことの発端は、3日ほど前のこと
『酢豚が食べたい』
と姪っ子のA子が言うものだから
「よし!レモンおばさんが作ってあげる!」
ということになり、ピーマンが足りないので、
姪っ子を連れて八百屋さんに出かけたのでした。
狭い店内は込み合っていて、商売繁盛。
無事にピーマンを買って帰る途中のこと
「ねぇ、おじさん、風邪引いてたのかな?」と姪っ子。
「え?誰が?」と私。
「だからぁ、八百屋のおじさん!マスクしてたでしょ?」
・・・ん?
「だから、やおやのぉお、じ、さ、ん!」
それを聞いて思わず噴き出した私。
「やだっA子ってば。‟おじさん” じゃないよ!‟おばさん” だよ!」と大爆笑。
ふと見ると、私の横で顔を真っ赤にしている
姪っ子小学6年生。
「なんでっ!絶対に、お、じ、さ、んだよ!!」
と言って、私の手をふりほどき、走って帰ってしまったのでした。
家に戻ると、
姪っ子がジジ(私の父)に必死の形相で、
さっきの話しをしています。
「そんなムキにならなくてもさぁ。でも笑っちゃったよ。A子ってば、八百屋の‟おばさん”のこと、‟おじさん”だと思ってたんだよ。」
と、私が言うと、すかさずジジが
「なに言ってるんだ!あの八百屋は男だろっ」
爺さんよ…いくら孫がカワイイからって、そこ、すり寄せなくても…
すると台所の奥からババ(私の母)が出てきて
「そうよレモン、あんたこそ、なに言ってるの!‟おじさん”よ」
ゲラゲラ笑う、ジジ、ババ、姪っ子。
「そ、そんなはずはないって。おばさんだってば!」
今度は私が必死の訴えをしていると
ゲームをしていた甥っ子のB太郎(小3)が
顔を上げて
「僕は、オンナだと思ってたよ~」
でかしたB太郎!
すかさず甥っ子にハイタッチっ!!
よしっ。これで3対2ねっ!
ということで、我が家の論争は始まった。
おじさん派(ジジ・ババ・姪っ子)の意見と、私たちの反論
髪の毛が短いから
⇒ ショートカットのおばさんだっているじゃない。
ノーメークだから
⇒ 化粧をしていない ‟おばさん” なんて、いっぱいいる。私も含めて。
いつもズボンを履いているから
⇒ 八百屋だよ?動きやすい服装してるだけですっ。それにしても、未だに「パンツ」って言うことに抵抗ある私は、それこそ『おばさん』。
調子よく論破していると、
相手も食い下がってきた。
おばさん派(レモン・甥っ子)の意見と、その反論
手が柔らかそうだったから
⇒「ぽっちゃりおじさん」だからだよ!
物腰が柔らかいから
⇒ それ、性別に関係ないでしょ。
優しいから
⇒ だから、性別関係ないって。
根拠に乏しい我々「おばさん派」
決定打に欠けるジジババ姪の「おじさん派」
すると、ババが
「あ!タマネギも無かった。買ってこなきゃ...」
はい。そんな訳で、タマネギ1個を買うだけのために、我々5人は、ゾロゾロと勇んで八百屋へ向かったのでした。
八百屋さんに到着
『いらっしゃーい。あれ?買い忘れ?』
気さくな店主の声がけに、
ビクっとするレモン家一同。
ええ、まぁ。と曖昧な返事しながら、
いそいそとタマネギを選んでいると
あれ?甥っ子がいない・・・
ふと見ると、店主の目の前に立ち、
顔をじっと見つめている甥。
「ちょっ、B太郎っ!何やってんの!」
という私の声と同時に、店主が言った。
「どうした?おばさんの顔に、何かついてる?」
!!!!
聞いたっ?! 聞いたーー!!
思わず隣にいた姪と顔を見合わせ、
手をぎゅっと握りあう私たち。
後ろを振り返ると、
ジジが「うん」とうなずいている。
ババはというと、タマネギ以外にキャベツやらトマトやらセロリやら、たくさんの野菜をカゴに入れて、普通に買い物しちゃってる。
当初の目的を逸脱してしまった彼女は、さて置き、とにかく我々4人は確かに聞いたのだ。
任務を果たした我々5人は、野菜をどっさり買い込み、店を後にしたのでした。
『結論でたね!』と思った、そこのあなた!
甘いです。
ここから意外な展開が・・・
レモン家の論争は、終わらない?
しばらく黙々を歩いた後
興奮気味に口火を切ったのは、私。
「B太郎、あんなにジロジロ見ちゃダメ。失礼なんだよ。」
と大人として注意をするも、説得力ゼロ。
姪と甥は息を「ふぅ~」と吐いて、緊張から解かれた安堵の表情。
そして姪っ子が嬉しそうに
「でもさ、今回はB太郎のおかげで【おじさん】ってことがわかったね!!」
・・・・は?
「だ、か、ら~、‟お、じ、さ、ん”!!って八百屋さんが、自分で言ってたじゃん!」
・・・ち、ちがう!!!
私は慌てて
「ちょ、何を言ってるの!‟おばさん”て、言ったんだよっ!」
「ジジ!聞いたよね?うなずいてたじゃん!」
今度こそ爺さんを味方につけようとした私に
「レモンが急に振り返ったから、うなずいただけだよ。なんか聞いたのか?」
と、爺さん。
な、なんなんだよ。紛らわしいっ
ならばと、
「B太郎!あんた近くで聞いてたでしょ!」
B太郎を問い詰めるも
「レモンが後ろから大きな声出したから、よく聞こえなかった・・・」
マジかよ。しかも私かよ、元凶は。
家族の白い目が私に注がれる中、B太郎が衝撃の事実を言った。
「でも、やっぱり‟おばさん”だったよ。
だってオッパイが膨らんでた」
ぉおー。ついに決定的な証拠をつかんだのです。
でかしたぞ、B太郎!
2回目のハイタッチをしようとしたその時です。
「いい加減なことを言うんじゃない。」
と、またしても爺さん。
『俺はさっき、この目でしっかり確認したが、
そういった膨らみは見られなかったぞ。』
まったく。
大きな声で何を言いだすんだ、この爺さんは。
しっかり確認してんじゃないよ、
破廉恥ジジイめ。
しかし、そんなツッコミよりも
「確認済みか。また振り出しに戻ったか」と買ってきた野菜をジッと見つめる私たちなのでした。
救世主、登場か?
『ただいま~』
あ!ママ(私の姉)が帰ってきた!
とりあえず、作った酢豚を食べながら
私たちは自分の派閥に姉を引き込もうと、
八百屋のおじさん、おばさん問題について
詳細を説明した後、息をのんで聞いてみた。
「で、どっちだと思う?」
姉は、しばらく私をジーっと見つめて
「それ、どっちでも、よくない?」
「それよりあんたさ、髪の毛、切りなよ。
ますます山下達郎に似てきてるから。」
一刀両断。なぜか流れ弾が私に被弾。
「えー、山下って誰?」と早速ググる姪と甥。
画像を見ながら
「わぁ~レモンちゃんみたい!」
「でもレモンちゃんの方が、目が大きくてちょっとだけカワイイよ!」
・・・はいはい。どうも、ありがとさん。
すると甥っ子が
「ねぇ、この山下っていう‟おばさん”、何してる人なの?」
!!!!
「違う!‟おじさん”だってばっ!!男だってば!」
「あっ、そっか!タツローだった!」
と言いながら笑ってる子ども達を見た時、
私は何かを悟ったのでした。
そうか。年を取ると、男も女も無くなって
『中性化』していくんだな。
そして私も、
その一歩を着実に進んでいっているんだな。
とりあえず髪の毛、切ろうっと。
口紅くらいは、つけようっと。
老いを受け入れながらも、ささやかな抵抗を試みる。という結論に達したのでした。
ちなみにこちらが山下達郎さん。
確かに。どっちでもいいの、かな。