崖の淵から、こんにちは。

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迷走中の崖っぷち女です。アフィリ 麦チョコ やっぱり映画

【動くな、死ね、甦れ!】『この狂気と絶望を受け止めることができますか?』

『動くな、死ね、甦れ!』 ヴィターリー・カネフスキー

映画を観終わったあと、衝撃のあまりに
立ち上がれなくなったのは
後にも先にも、この作品を観た時だけ。

狂気と絶望の中にある
みずみずしさと、ヒリヒリとした痛み。


感情に思考がついていけなくなった時

人は茫然と

その場から動けなくなるのかもしれません。


覚悟して観ないと精神が崩壊する映画


それでもやっぱり

絶対に観るべき名作がここにある!!


動くな、死ね、甦れ! Blu-ray

製作国:ソビエト連邦 1989年/ 上映時間:105分
監督:ヴィターリー・カネフスキー
キャスト:パーヴェル・ナザーロフ/ディナーラ・ドルカーロワ

ソビエト連邦時代に製作された作品。
カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞(1990年)。

簡単なあらすじ

主人公の12歳の少年、ワレルカは、旧ソビエトの極東にある荒んだ炭鉱の町に生きている。彼は学校で悪さをしたり盗んだり、たびたび騒動をくり返す。母親の愛人への憎悪から、だんだんエスカレートする悪戯。そんなワレルカのため、なんども危機を救ってくれる幼なじみの少女ガリーヤ。 ついに学校を退学になったワレルカは町から逃亡する。
そして2人の運命は思わぬ方向へ転がりはじめていく・・・

レモンの感想

時代や生まれた国、境遇がどうであったとしても
人は生きていかなくてはならない。

「生きる」ということはそういうこと。


映画の舞台

第二次世界大戦直後の極東シベリア”

と、聞いてピンと来た人もいると思います。


白黒の画面に時々写る旧日本兵の捕虜の姿と
呪文のように映画から聞こえる
彼らが歌う日本のうた。

ぎゅぅっと胸が締め付けられます。


ドキュメンタリーを見ているような感覚に陥るのは、主演の少年ワレルカが

本当のストリートチルドレンだったからかもしれません。


13歳で煙草をくわえ街を徘徊していた彼に
『かつて自分自身を見た』というカネフスキー監督。

そう、監督もまた
劣悪な境遇を生き抜いてきたひとりなのです。

この映画にリアリティを感じるのは
当然のことなのかもしれません。


荒れ果てた生活と絶望の中で

幼馴染のガリーヤは、彼にとって天使であり

希望なのだということが

痛いほどわかればわかるほど

この映画の残酷さと狂気が私の胸に突き刺さる。



カネフスキー監督は、

残酷な時代を生き抜いてきた自分自身の中にある

苦しみや痛みをしっかりと凝視し描くことで

これからのロシアに希望を見出そうとしていたのかも、しれません。


そして「すべての子ども達」にその未来があるのだと。


だから私は、この作品に
「やさしさ」を感じるのかもしれません。


ちょっとチラ見せ

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ワレルカ(パーヴェル)の表情に
監督のまなざしを感じる


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ロシアの定番 ‟ほっかむり” 姿。
おばちゃんっぽい少女ガリーヤ

「私が助けてあげる」
・・・泣ける


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線路を歩くシーンは映画の定番なんだけど
この作品にはリアリティがある。

実はこの作品は三部作になっています。

第一部:『動くな、死ね、甦れ!』

この記事で書いた作品です。

第二部:『ひとりで生きる』

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前作「動くな~」から2年後、15歳になった2人を描いた作品。
少し大人になった2人は、どのような人生を歩むのか。

第三部:『ぼくら20世紀の子供たち』

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カネフスキーストリートチルドレンを撮った
ドキュメンタリー作品。

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残忍にならざるを得ない過酷な現実と
子どもの心に垣間見る純粋さを
カネフスキーが映し出す。

この作品には、すっかり大人になった
『ワレルカ少年とガリーヤ少女』が出てくるのだが・・・
その姿と悲しい現実が、痛くて苦しくて愛おしい。

3部作まとめて観たい方はDVDBOXもあります。

ヴィターリー・カネフスキー DVD-BOX

ヴィターリー・カネフスキー DVD-BOX

私がこの映画を観たのは、今から20年くらい前。
つい最近、再上映されていたようです。
劇場で観たかったなぁ。
調べてみたら鹿児島の「ガーデンズシネマ」で、6月7日~10日まで上映されるようです。
鹿児島かぁ。お近くの方、ぜひ!!

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